楽しみが苦痛に変わる。

筆者や元フィギュアスケート選手の鈴木明子さんを襲った

摂食障害という病気のほんとうの恐ろしさは

冒頭のことばで言い表わせると思います。

筆者の場合は、どれだけ美味しいものを食べても体が受け付けず、

最初は吐き戻してしまい、そのうち舌や喉が食べ物どころか

飲み物や飲み薬まで突っ返してしまうようになり、

このままでは栄養失調に陥ると、口から飲み食いすることを断念し

必要最低限の栄養をお腹や鼻から注入する生活が

長く続きました。

筆者の場合は、食べ物はおろか水分や唾まで食道ではなく

気道に入り込んでしまうほどで、鈴木明子さんより深刻どころか、

最先端の大学病院の医師が匙を投げかけたほど

手のつけようがなかったのです。

ガリガリに痩せて廃人のようになっていた当時からすれば、

今の状態は奇跡に近いけれど、ここまで回復できたのは

やはり食べることへの渇望、もっと言えば生への渇望が

大きかったのだと思います。

この渇望の渇は喉の渇きの渇でもありますね。

今更ながらに思うのですが、食べたい、飲みたいと思うのは

人間の自然な、生理的な欲求であり、それが満たされたとき

この上ない楽しみを得るのだと思います。